アウトドア
を通して
山を丸ごと
楽しむ
山を丸ごと-
昨今、登山の人気が高まっており、ただ山に登るだけではなく山の上での食事を楽しむなど登山の楽しみ方が多様になってきています。オーナーは学生時代から登山に親しんできましたが、都内でのサラリーマン時代に運営していた登山サークルで、『その土地の、その山の麓の集落の特産物や文化を味わう』という視点で山行を企画しており、好評を得ていました。山の上からの景色だけではなく、麓の自然や文化も楽しむ。まさに山を丸ごと楽しむ。一方で、それを実現するためには自らカスタマイズしなければならず、大変な労力がかかりました。
アウトドアを通して-
登山サークルの活動の際、もう一つ感じていた不満がありました。それは、気軽に安く泊まれて、登山の際の食事などの準備がワンストップでできる拠点がない事でした。そのため、車中泊や徹夜移動を強いられ体調を崩し、山を十分に楽しめないことがありました。
これらの不満を自ら解決したいという思いが高まり、脱サラして作り上げたのが『南アルプス36』です。
徹夜移動して寝ずに登頂を果たし、下山後そのまま帰路につく登山も限られた日程の中では仕方のないことかもしれませんが、『登山は、ただただハードで大変なもの』になっていませんか?当宿は、初心者や女性などより多くの登山者の方に登山を快適に楽しんでいただきたいとの思いから、徹夜移動や車中泊ではなくベッドの上で睡眠をとり準備を整える、すぐ帰って日常に戻るのではなく山の麓で一息つき山の余韻に浸る、そんなサービスを提供します。そうすることで登山はもっと快適になり、また登りたいと思え、より素敵なレジャースポーツになると考えています。
『南アルプス36』ならではのアウトドア
山でのアウトドアは登山に限りません。山麓の自然の中での農作業や、山菜や山の果実狩りもアウトドアだと考えます。芦安には、オオバギボウシやウワバミソウなどの地元の人が昔から食してきた特徴的な山菜の他、山梨県の名前の由来になったとされる梨の原種ヤマナシや、サルナシ、ヤマブドウなどの山の果実があります。それらの山の恵みを味わい、農作業体験で収穫した農作物やジビエでのBBQなど、『南アルプス36』ならではのアウトドアを提供します。
当宿がある芦安は古来より山の仕事で生計を立ててきた地域でした。材木業や炭焼き業でしたが、今となっては産業衰退とともに若者が地域外に移り住むようになり、当時の文化が継承されなくなってきています。山仕事をしていた人達は山人(やもうど)と言われていましたが、山人達の間で育まれてきた文化には登山などのアウトドアをする人達にとって魅力的な文化があると考えています。例えば、『しょうゆの実』と呼ばれ受け継がれてきた大豆の伝統発酵食品は、発酵のプロセスでアミノ酸と呼ばれる栄養成分が多く含まれ、運動前後に体に取り入れるのに最適な食品です。その作り方や味はまさに唯一無二。また、『山の神』と呼ぶ山の神様へのお参りや『オホンダレ』と呼ばれる偶像に込めた五穀豊穣や無病息災などの祈願の行事文化など、この土地ならではの文化に触れる機会も広くアウトドアと捉え提供していきます。
楽しむ-
登山などのアウトドアが好きで既に趣味にされている方は、なぜアウトドアが好きですか?人によって様々だと思いますが、我々は下記のように大きく3つの価値があると考えています。
『解』
登山はレジャースポーツとされるようにスポーツの要素があり、相応の荷物を背負い山の斜面を相応の距離歩けばそれなりの運動になりますが、それがストレスの解消になり、山頂からの絶景を眺めれば言いようのない解放感に包まれるでしょう。また、ハイキングや森林浴などは、内省し日々の生活で頭の中で絡まった糸を解くリラックスした時間になるでしょう。
『感』
芦安には平地が少なく、山の斜面や平らにした僅かな土地で農業をしてきました。裏を返せば、田畑が木々などの自然の中にあるのですが、そこで農薬はもちろん有機肥料すら使わず、自然の生命循環を活用した自然農法に取り組んでいます。ここで収穫した作物はまさに芦安の大地の恵みであり、感謝の念が湧き上がってくることでしょう。鹿や猪などのジビエもまさに大地の恵みです。生き物の命を自らの手で頂くことで感謝の念は溢れ出てきます。これらの恵みを南アルプスの頂の上で食せば、それは感動に変わることでしょう。
『修』
アウトドアは文明の力に頼らず、己の力や技術を使います。一人の力は微力なので仲間と協力したり、技術を先人や先生達に教わります。アウトドアを通して、技術力やコミュニケーション力の修得に繋がります。AIの台頭が進む世の中にあって、人には人にしかできないアナログな力を求められ、それを磨き修得していくべきであると考えます。アウトドアは個人や企業の研修の場になると考えています。
山麓でのOd-innで地方創生
当宿は既存の宿の業態に当てはめるとゲストハウスに近いですが、ゲストハウスのイメージに縛られたくないとの思いから、『アウトドアの宿 Od-inn』としています。Outdoor-inn(アウトドア-宿)を略してOd-inn(アドイン)です。多くのゲストハウス同様、浴室はシャワールームになっていたり、民宿や旅館のようなお膳料理の提供は行っておりません。温泉や豪華な食事は近隣の施設をご利用いただくことになりますが、そちらの方が選択の幅が拡がりより楽しんでいただけると考えていますし、芦安全体が活気付きます。
これまで雄大で魅力的な南アルプスの山々に登山者は多く訪れるものの、麓の芦安地域の素晴らしさを知っていただく機会を逃していたように思います。当宿に多くの方に滞在いただき、近隣の食堂や温泉などを合わせてご利用頂ければ芦安地域が元気になります。独自の自然や文化に焦点をあて広く知ってもらい、登山以外の目的でも多くの人に訪れていただくことで、芦安地域がさらに元気になります。この地域を訪れる人と自然や文化、人と人をむすび、地域はもちろん、果ては世の中をより豊かにしていきたいと我々は考えています!
『南アルプス36』オーナー
青山 智彦